今回は、当団地の原子力専門家Mさんの計らいで、今まで使ってきたシンチレーションカウンタのほかに、ガイガーミューラー計数管も併用し、ベクレル値と対比できるようにしました。
以下Mさんの結果報告です。
エステート聖ヶ丘3丁目団地 放射線測定(第7回)結果の概要
2013年7月13日
1. 目的
団地住民により、団地内の放射線測定を行うことにより住環境の空間線量率を把握し、安全の確保とともに、安心感の醸成を図る。
2.測定点(場所)の設定
過去6回実施した測定結果を踏まえ、
(1) 団地内各棟前、団地内案内板、遊園地などの代表的な41地点を選定し、地表面および1m高さの放射線量率を測定
(2) 団地内の線量率測定地点の地表面の放射性物質による汚染密度の測定
(3) 敷地内の特異点(雨どい下、側溝などのホットスポット)の確認
などを行い、放射線量率の推移、汚染密度などを把握する。
(注記)東京電力福島第1発電所の事故ともない放出された放射性物質の中で、現在、各地に飛散し空間線量率の上昇に影響している核種は134Csと137Csであると考えられる。これ等の核種は、地上に降下し、粘土などと強固な結合をしていると考えられる。
3.測定結果の概要
(1)団地内の空間線量率 殆どの場所後表面の線利用率は0.08μSv/h程度(団地内平均値0.086μSv/h、最大値0.11μSv/h、最小値0.06μSv/h、測定点の間のばらつきは約13%)であり、1m高さの線量率の平均値は0.08μSv/h(最大値0.10μSv/h、最小値0.06μSv/h)で、測定場所による違いは約10%の範囲に含まれることが確認できた。
(2)団地内の汚染密度の平均値は、0.13Bq/cm2 であった。(最大値0.23Bq/cm2 、最小値0.01Bq/cm2)
(参考)Bq(ベクレル:1秒間に1回崩壊することを表す単位、Bq/cm2 :1平方センチあたりの放射性物質の崩壊数)
(3)51街区遊園地、52街区遊園地ともに団地内の他の測定点に比べて線量率及び汚染密度ともに低いことが確認できた。
(4)特異点について、線量率を継続して測定してきた結果ら減少傾向にあることが確認できた。
4.結論
(1)聖ヶ丘3丁目団地の空間線量率は、平均として0.08μSv/h程度であり、健康の影響を及ぼす線量ではないといえる。
特に、地表面と1m高さの線量率がほぼ同じであることから地表面に高い汚染源は認められないといえる。
(参考)福島県内の放射性物質による深刻な汚染のある地域では、年間被ばく線量が1mSv以下とすることを目的に除染が進められることとなっている。そのため、線量率を0.23μSv/h以下となることを目標として除染が行われることとなっている。(聖ヶ丘の線量率は0.23μSv/hの約1/3 である。
(2)汚染密度の平均値は、0.13Bq/cm 2であり、放射性物質を規制する法律に規定する濃度限度(ベータ線、ガンマ線放出核種:40Bq/cm2)の0.3%に相当するものであり、汚染のないものとして取り扱うことができる。
(参考)今回、GMサーベーメータを用いて汚染密度の測定を行った。この時の計数率は約100cpm(1分間当たりの測定値)であった。法律の濃度限度は約13,000cpmに相当する。この結果からも濃度限度の1%以下であることが確認できる。
(3)特異点として確認された集会所の立樋など雨水処理対策が施され線量の高い場所は認められなかった。
また、団地入口の側溝内の堆積した枯葉部分に他と比較してわずかな線量の高い部分が確認されたが人が駐在する場所で花井ことと考慮すると特に問題となるレベルではないといえる。
(3)上記(1)及び(2)の結果及び東京都における連続放射線モニタリング結果などを踏まえ、聖ヶ丘3
丁目団地においては東京電力福島第1発電所事故発生以前の状態に近いと想定される。
以上
測定結果の詳細図-1 第7回 聖ヶ丘3丁目団地放射線量率・汚染密度分布測定結果(汚染密度).pdf図-2 第7回 聖ヶ丘3丁目団地放射線量率・汚染密度分布測定結果(線量率比).pdf図-3 第7回 聖ヶ丘3丁目団地 地表面線量率(μSvh)測定結果.pdf図-4 第7回 聖ヶ丘3丁目団地 地表面から1m高さの線量率(μSvh)測定結果.pdf図-5 第7回聖ヶ丘3丁目団地 地表面汚染密度(Bqcm2)測定結果.pdf図-6 特異点の放射線量率測定結果.pdf図-A 測定器の違いによる線量率測定結果.pdf図-B GMサーベーメータによるBG測定(時定数と計数率の関係).pdf図-C GMサーベーメータによるBG測定結果(時定数の違いによる計数率).pdf